秀麗な山容の大土山は、地元の伝承によると、天孫降臨の聖地、古くから神が鎮まる山として信仰され、禁足地であったと伝えられています。山麓の小原は、古来より栄えた地域で既に縄文時代には人が住み、大きな集落や文化の存在を示す数多くの遺跡や古墳が発見されており、大土山の磐座は古代祭祀の聖地であったと考えられております。天岩位と称される天ノ岩座神宮の磐座の南麓には千畳岩といわれる岩石群が広がり、昔、神議(神々の会議)の場であったと伝えられております。その他にも天神岩、千引岩など信仰の対象となっている多くの磐座が点在しております。
天岩位は単独の磐座ではなく、周辺の山々・磐座群の中心を成していると云われており、その神域はいつの頃か詳らかではありませんが高天原と称されております。
『平地があり、参道となる沢を降り、反対側の沢を登ると初めの平地より高い処に磐座がある―。』これが典型的な磐座のあり方とされておりますが、その通りの状態を天ノ岩座神宮で観ることが出来ます。大鳥居の先の参道となる沢をはさんで磐座を拝する平地が遥拝所となっており、磐座を奉斎しておりますから、此処には神殿がありません。
古来より地元・近郷の人々の深い崇敬の対象だったこの磐境・磐座の上代祭祀跡に「天ノ岩座神宮」を興したのは広島・飯室出身:故溝口似郎先々代宮司(比婆大社:現 熊野神社・元神職)です。
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