第36回 「にっぽん文明研究所」セミナー
『麻文化研究会』
発足記念
「麻文化の復権に向けて partT」 のお知らせ
日本の伝統文化と新しい文明を見据え“日本人の霊性”“宗教のゆくえ”“日本の文化”などを始め、時代が求めるさまざまなテーマに取り組み研究会・講座などを企画し各種の活動を行っております 「にっぽん文明研究所」では 第36回セミナーとして、これから最も見直され研究されなければならない“麻”をテーマに取り上げました。麻は、日本の神道と切っても切れない、深い関係にあります。私共は今後、分科研究会「麻文化研究会」を発足させ、伝統文化と深い関わりのある麻をテーマに、さまざまな視点からこれを取り上げていきます。
ピュア&ナチュラルは日本神道の理念.その象徴は麻・・・
現在の神を祀るかたちには、鎮座式と神籬(ひもろぎ)式があります。鎮座式とは、神社や祠に鎮まっておられる神に対して祭祀を執り行うことです。かつて、仏教が伝来して寺院が建てられるようになってから、日本の神々もこれに倣い、社殿を建立してこれに鎮座するようになりました。また神籬式とは、榊など常緑樹を神籬として神のご降臨を願い、祭祀を行なうことですが、神籬には必ず麻と紙垂(しで)が取り付けられます。神々が社殿に鎮座するようになる迄は、自然の中の岩座や巨木などを神籬として来ましたが、その精神を伝える今日の神籬は、常緑樹はお住居、麻はお召し物、紙垂は清浄を表します。太古から人々は麻を原料として麻布を織りこれを纏って来ましたが、麻は神のお召しになる着物としても神道に欠かせません。今でも三重県松坂市にある神麻續機殿(かんおみはたどの)神社の八尋殿では、毎年春と秋に伊勢の神宮の神さまが衣を新調される神御衣祭(かんみそさい)のために荒妙(あらたえ・麻の織物=本来は麁服〔あらたえ〕と表記します)を、身を清め古い伝統のままに奉職しております。我々神職は奏上する祝詞のなかで、“清き・直き・明き心・・・”純粋な、ピュアな心の表現を良くします。我々の祖先は太古からそのような心で大自然のなかにお坐します神と共に生き、これを称えて来ましたが、麻はそのナチュラルの象徴として捉えられていたのです。
古神道の根底にある宇宙観 “ホワイト&グリーン”
神職が身に着けるのものは白衣が基本です。ホワイトは神が好まれる清浄さと、純白な“正しき心”を表しています。グリーンは勿論日本の豊かな森と自然の野山です。人間同士が争う武器を持たなかったとされる縄文期は一万年以上続いています。当時の人々には、自然と調和し、風土と一体となって生き、万物の生成や気象に神の存在を感じる宇宙観がありました。そこには神聖さ、畏敬、感謝と、更なる豊穣への祈りといった普遍的精神性があったのです。ホワイト&グリーンとは、森羅万象その自然の摂理に逆らわず、正しい心で生き方をまっとうする、ということなのです。大自然のなか、成長の早い麻に神聖な生命力と、様々なものに活用されてきたその恵みに自然の偉大さを感じ、感謝してきたのも、当然のことかも知れません。
代替医療で著名なアンドリュー・ワイル博士
博士は、’79年6月、大麻栽培で起訴された日本人の友人の証人となるため来日し、京都地方裁判所に出廷しています。博士は次のようなレポートを残しています。「(略) 大麻、麻と呼ばれるこの植物は、相当古くから人間の生活の中で使われてきている。その長いかかわりあいからして、我々がこの植物の全てを知っていて当然だと考えても不思議はないように思われるが、これほど事実が知られていないというのも奇妙なものだ。当然日本でも、大麻は繊維としてばかりか薬としても古くから知られている。(略) 麻は永い歴史を人間と共に生き続けてきた。人類がこの地球上に生き続ける限り、麻もまた生き続けるに違いない」
日本各地で伝統文化と深い関わりを持ってきた麻は、戦後、GHQによって押し付けられた「大麻取締法」に拠って、その栽培は厳しく制限されております。’90年代に入り、欧米では環境に優しく様々な資源に活用できる麻の良さが見直され、幾つかの国では産業用の大麻栽培は解禁されております。更にEUの一部では栽培助成金も支出しておりますが、日本は、麻に関しては完全に後進国といえます。今回、日本の麻に関しての現状をお話しして頂けるお二人の方をお招き致します。バイオマス=生物資源研究の赤星栄志氏と、弁護士で永年大麻のご研究をされている丸井英弘氏です。皆さまのご来場をお待ち致します。
平成16年8月