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第30回 にっぽん文明研究所 「古史古伝研究会」 セミナー
「考察・古史古伝 partU」 佐治芳彦 講演会


日本の伝統文化と新しい文明を見据え、“日本人の霊性” “日本の礼節” “宗教のゆくえ” などを主なテーマとして研究会・講座などを企画し各種の活動を行っております 「にっぽん文明研究所」 では、多くの方々から寄せられたご要望に応え  「 考察・古史古伝  partU」   を 第30回セミナーとして開催します。

今回は昨年に続き、再び 佐治 芳彦 先生 をお招きし “ 知られざる神々の世界へいざな誘う ”
― 古史古伝  概論  その二 ― 『抹殺された神々の復活』を講演して頂きます。

一年前、静かなブームの到来を告げ、私共は「古史古伝」を取り上げました。それはまさに封印されていた神々が復活し、社会をも揺り動かす “時代が動くとき 古史古伝の持つエネルギーが甦る” 時宜を得た思いの開催でした。現在、テロや政治・経済不安、宗教不信といった情報のなかで、世界には閉塞感が漂っています。そして科学万能・物質文明がもたらした核と環境汚染が象徴する  “病める近代文明”  の反省からより良い世界を築くための、新たな文明への模索が試みられていることは知っています。

“縄文史観を正しく理解しなければ、日本人の精神性は見えてこない。” とは、常々の私の言です。山内丸山遺跡の発見は、弥生以降の歴史の陰で見え難かった “縄文” をものの見事に露呈させ、今までの常識の脆さと欺瞞を世に知らしめました。いま、社会構造や環境問題を始め、様々な分野で既成概念の見直しが迫られております。縄文の情緒的理解からではなく、“森羅万象・総てのもの・万類が共生” し、人間の闘争の痕跡がなく、異文化の衝撃を吸収して “神と自然と人間を一体に包み込む” 「縄文の霊性」こそが “民族・文化を超えた平和的共存が可能なこれからの世界の未来を示唆する” ものと確信します。

この縄文期の一万年という長い時間の厚みと四季が循環する大地の中で、日本人が民族として成立し、日本語の原型が形成され、日本人のアイデンティティ・日本人が持つ心性・感受性の基層が培われました。ここでC・G・ユングが言う “遺伝子に刷り込まれている民族的・集団的・無意識深層:潜在意識” が、しっかりと刻み込まれました。それは有史以来、現在に至るまで “我々の歴史や文化に大きな影響を与えている” のです。永い年月と美しい自然風土から産まれ鎮まった “地霊” と “縄文の神々” は、我々の記憶の底にあるロマンと郷愁に呼びかけ 「古史古伝」 の神々の復活を促します。

「古史古伝」は神代の歴史を伝え、神代文字を伝承しております。しかし、古史古伝の世界に現れる神々の神格・神性や事績と、「縄文の霊性」 を持つ縄文の神々との乖離は、指摘されるところです。現在、アカデミズム始め社会的風潮として、古史古伝の文献は “偽史・偽作性が強く学術的な資料価値は見出せない” とします。戦前、京大・狩野享吉博士による 『竹内文書』 批判、皇学館大学長・山田孝雄博士の神代文字批判で、古史古伝 偽作説の系譜は定着しました。竹内文書を弾圧し、皇国史観からの逸脱を許さなかった時代性が創り出した姿勢は、自由な研究討論と検証が受容される現在も続いています。

確かに記紀などと比較し、古史古伝を “荒唐無稽” のひと言で切り捨てることは簡単です。しかし国民的文化遺産 『古事記』 も、二百数十年前までは他の史書の一隅に埋もれ、陽の目を見ない単なる “雑書” の扱いでした。本居宣長が賀茂真淵に研究を薦められ、三十年以上に亘って心血を注ぎ完成させた 『古事記傳』 を世に出さなければ、今の 『古事記』 は無かった筈です。それも、戦前は皇国中心・国体観念の根源を希められ神典と崇められて来たものが、戦後は自由な論議のなかで一介の古典に転落し、偽書説が噴出します。また、国家の威容を内外に示そうとして成立した 『日本書紀』 は正史です。正史や官撰の六国史、アカデミズムが認知している史書などが、必ずしも正確な事実・歴史を伝えていると断定できるのか。果たしてそこに潤色と虚構は無かったか。体制側の事情で消された神々は居なかったか?・・・。

権力者の側から抹殺・或いは異端とされた神々は古史古伝のなかで復活します。“日本人とはなにか” を知ろうとするとき、それらの神々の存在を避けては通れません。知られざる神々は我々に何を伝えようとするのか。その伝言を聞いてください。

平成15年8月   





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