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第29回 「にっぽん文明研究所」 葬送儀礼セミナー
「これからの葬送儀礼 partT」
日本の伝統文化と新しい文明を見据え“日本人の霊性”“宗教のゆくえ”“日本人の礼節”などを始め、時代が求めるさまざまなテーマに取り組み研究会・講座などを企画し各種の活動を行っております 「にっぽん文明研究所」 では第29回セミナーとして、時代と共に変化して行く葬送儀礼”をテーマに取り上げました。誰もが免れ得ない“死”への不安や恐怖から目を逸らせることで、心理的に、或いは社会的にタブー化し、語らなければならないのに声高には語られて来なかった“はふ葬りとその儀式について―”です。かねてより研究所挙げてその開催の時期を覗っていた重要なテーマです。今後、分科研究会 「葬送儀礼研究会」 を発足させ、このテーマでのセミナー・講座を定期開催致します。
これまで臓器移植のための脳死判定や、安楽死、尊厳死といった“死”の方向性について問題提起されるなか、腰の定まらない現代人の死生観が論じられて来ました。その延長線上にある葬送と儀礼に就いては、十二、三年程前から自然葬・葬送の自由を訴える団体なども現れ、具体的に学問的に議論される機会に触れるようになりました。
かつて葬儀は、地縁・血縁で構成される地域共同体のなかで周囲と関わり合いを持ちながら生活する“家”が、連帯の維持強化の存続を確認する儀式でもありました。この“家”の葬儀は、家系・家柄・収入などの格によりそれに相応しい規模で行なう葬儀を強いられ、それを当たり前に執り行なって来ました。しかし、この共同体意識も戦後の産業構造の発達で地方から都市への人口移動という社会変革で薄れ、家の宗教や信仰は消失し、地域共同体の機能も消滅へ向います。それまで地域共同体での干渉と相互扶助で行なわれて来た葬儀も、徐々に個人が選択する葬儀へと変化していきます。そして代々引き継がれてきた菩提寺と檀家という帰属意識も、希薄化して行きます。
そのように個人が選択する近年の葬儀の形態は、多様化して来ております。海への散骨、音楽葬、弔辞と献花でのお別れ会、生花を飾っての花葬儀、キリスト教会での葬儀、“密葬”と言われるようになった世間体を気にしない身内のみの小規模な葬儀―。出口の見えない不況が続くなか、そこには一般的に宗教性より葬儀費用の軽減を優先させる意図も見えます。そのことで尊厳性が希薄になることは否めません。現在、葬儀と墓をおもに必要としているのは戦後生まれのベビーブーマー、いわゆる団塊の世代です。高度成長期に育ち、新しい世界の創造と新しい価値観を求めた世代です。世代が変わり新しいライフスタイルが確立されても、誰もが近親者や身近な死者を悼む気持ちは昔から同じで変わりません。しかし、葬儀のかたちが変わることで、その後の死者の供養や追悼といった意識に変化が見られ、崇祖の概念も変化して行くのは、当然かもしれません。
私共では“こころ精神とかたち作法を学ぶ”を掲げ、古神道系・新教派系神職を養成する少人数制の「古神道講座」 を開講しております。この講座では “自分自身をどのように葬るべきか、いかに死ぬべきか”は、“生命のある間どのように精一杯生きるべきか” であることを教え、時代と共に葬送儀礼は変化しても先祖と繋がる御魂の祭りを忘れないことを強調しております。更にここでは、経済性・機能性を重視しつつも神観に基づく厳粛な 『神道式一日葬儀』 を提唱しております。既に寺院の一日葬儀もあるようですが、時代の趨勢に鑑み、この一日葬儀は数年のうちに定着するものと思われます。
今回は、テーマの “葬送儀礼” に就いて語るとき、必ずお名前を挙げられるおふたりの先生にお出でいただきます。葬送儀礼研究の第一人者で多くの著書を世に出されている 藤井 正雄 先生と、雑誌「SOGI」 編集長で葬祭ディレクターになるための受験参考書なども著されている 碑文谷 創 先生です。藤井先生には 「現代葬儀の本質」、そして碑文谷先生には 「変わりゆく葬儀のかたち」 をお話して頂きます。第29回セミナーの日時・会場・交通機関等は 別紙の通りです。ご参加をお待ち致します。
平成15年7月
伝統文化と新しい文明の研究機構
企画・主催 「にっぽん文明研究所」代表 奈良 泰秀
事務局 〒222-0034 横浜市港北区岸根町681
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