第22回 「にっぽん文明研究所」セミナー
清水 馨八郎 講演会 のお知らせ
行楽の好季節となりました。皆さまにおかれましてはご清栄のことと存じます。
日本の伝統文化と新しい文明を見据え、“日本人の霊性” “日本の礼節” などを主なテーマとして研究会・講座などを企画し各種の活動を行っております 「にっぽん文明研究所」 では、 第22回セミナーを開催します。
今回は、講演に執筆に、ますます精力的にご活動されている清水 馨八郎先生をお招きします。“世界の歴史から他民族文明の本質が見えてくる”と謂われる清水先生のご講演は
「条約破りの世界史」 −脱亜超欧と21世紀 日本文明の世界化へー
をお話して頂きます。
明治以来、日本から見る欧米は見習うべき憧憬の先進国であり、ここに近づこうと努力してきました。そのようななかで世界史とは西洋から見た歴史であり、西洋中心史観に基づいて捉えられてきた歴史であることを、我われは見過ごしてきました。そこには様々な歪曲と、故意に隠蔽されている暗黒面の歴史があることに気付かずに、それが正しいものと思い込んできました。
西洋の歴史は、キリスト誕生以前から民族・地域間の紛争で、絶えざる戦乱状態の連続でした。その歴史を俯瞰するとき、西欧の繁栄は奴隷制度と植民地獲得経営によって支えられていたことが見てとれます。ギリシャ・ローマ時代から戦争に敗北することで交易の常態とされた被征服民族の奴隷化は近世まで続き、新大陸進出でも奴隷制とその労働搾取によって富を生み出すシステムがつくられていました。強奪と狩猟を生業とした北欧バイキングや異宗教との戦いから聖戦とされた十字軍遠征の精神は、近世大航海時代の力による侵略・収奪と先住民抹殺という蛮行となりました。力での征服の先駆者を善とする精神は、フロンティア・パイオニア精神として現代に引き継がれています。
4世紀のゲルマニア民族大移動など他国侵略や繰り返される建国・分裂に伴う闘争に宗教紛争・異宗教間対立が加わり、欧州の歴史は、戦争の歴史とも言えます。二世紀に亘る十字軍戦役、百年戦争、ナポレオン戦争、第一次・第二次大戦と戦争状態にあることが平常で、平和な状態は一世紀に僅か数年程度と言われています。北アイルランド紛争やコソボ紛争など、争いは現在も続いています。
ナショナリズムに目覚めた植民地の国々が西欧の支配国に反旗を翻し、多くの国が独立を果たしていきます。今次大戦で敗れたとはいえ日本が欧米と戦ったことで、アジアの諸国も独立を勝ち取ります。植民地を失い収奪の機能をも失った西欧が、別な方向性を探り統合一体化に進んだのは当然です。
ここまで物質科学技術が発達し、グローバル・スタンダードで目指したアングロサクソン的文明の世界制覇の行き詰まりや自然征服が引き起こす環境破壊など、かつて日本が崇めた欧米型文明に綻びが見えて来ています。9・11テロで崩れ落ちたニューヨークの世界貿易センタービルの姿に、白人至上主義的な欧米物質文明の崩壊が予感されます。そして、ロシア、中国のことも気懸かりです。
これからは、「西欧型」の対立抗争の“大陸文明”・自然征服の“砂漠文明”・金銭と物の“物質科学文明”から、「日本型」の寛容と温順の“海洋文明”・自然調和と共存の“杜の文明”・惟神と情緒の“心の文明”へと向います。清水馨八郎先生が説かれる『日本文明の真価』を、是非お聴きください。
平成14年4月