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機関紙 巻頭随想 


  高齢少子化に想う

       「にっぽん文明研究所」 代表  


この頃、老後の生活を支える年金に対する関心が高いせいか、高齢少子化についての報道記事が多い。

国連では先進国の65歳以上の割合が7%を超えると高齢化社会とし、その倍の14%を超えると高齢化が安定した「高齢社会」と表現している。先進国ではほぼ高齢社会へと進んでいるが、我が国でも平成七年(‘95)に高齢社会となり、僅か六年後の平成十三年には17%を超え、二年後の昨年には19%を超えるという世界で類を見ないスピードで高齢化が進行している。

いっぽうの少子化についても深刻な状況にある。出生率の低下が続くうえ、今後、二十代・三十代の女性人口が減り、さらに結婚しない女性が増えることで、今世紀前半には我が国の人口が14%も減少するという。

最近、新聞記事で知ったことだが、アメリカでも人口の変動が進んでいる。二〇五〇年には白人系が現在の69,4%から50,1%に減少し、ヒスパニック系が激増して四人に一人となる。半世紀後のアメリカの人口地図は大きく変わるわけだが、我われはアメリカと言えば豊かな白人の合衆国というイメージで育った。それが五十年後には白人系が半分となり、半分は有色の雑多な人種がそれぞれの可能性を求めて生活をする国となる。これから白人系と非白人系の間の格差が広がっていくのか、或いは同じようなレベルで生活ができる国になるのかは解らない。アメリカの歴史は浅い。民族や言語、習慣を超えて国造りのための融合と協調の新たな文明も芽生えてくるだろう。

このように人口の増減を予測出来ても精神面での変化、意識の変化は数字で表せない。

かつて日本人は“墓を守る”という意識があり、これが最後の保守性だと言われていた。云うまでもなく敬神崇祖の理念が根底にある。だが、少子化の影響で子孫が絶え、墓を守れず棄てられる墓が増えていくという状況にある。この最後の砦とも言うべき墓を守るという保守性が崩壊していくとき、日本人の精神性は何処へ行くのか。その方向性を探ることは難しい。この高齢少子化という選択の出来ない現象のなかで、我われは先祖から伝えられてきた文化をも放棄しようとしている。いつの間にか核家族が当たり前となり高齢の寡婦が増え、大家族の家庭は珍しい存在となった。今までの生活のスタイルを変容させ、社会の歪みを創り、国の活力を削いでいく原因は、高齢少子化という人口問題にあると言える。少子化の原因の一端は女性の自我意識の高まりだが、これは最早あと戻りは出来ない。

先進国の人口減少に対し、途上国では人口増加の一途を辿っている。水が高きより低きに流れる自然の理のごとく、今後は人口減少国に途上国の人々が流入してくるものと思われる。いま、世界の動きは速い。既に経済は国境を越え、地球的規模での交流が始まっている。今まで国境内に留まっていた資本や企業が、より利益を挙げる投資先やコストの安い国や地域を峻別する時代になった。さらに人口が減少する今後も日本の企業や技術が海外に流出していくだろう。替わって国内には途上国の労働力が供給されることになる筈だ。

近い将来、我われは新しい住人とどのような融合を図れば良いかという解答を出さねばならないときが来る。我が国はバランスを崩さず外来の文化を取り入れ、それを咀嚼して根付かせて来た。これからは行動することが少なかった神社の神職に、彼等の文化と積極的に関わり、日本の味付けをしたかたちで残すこと考えて貰いたい。

“祭り”というかたちで。


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