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オウムと大祓え 「にっぽん文明研究所」 代表 奈 良 泰 秀 今年の夏は、猛暑のなかに極端に涼しい日や台風もありましたが、どうやら暑さも峠を越えたようです。皆々様にはご平安のことと拝察申し上げます。 前々回、東大の島薗進教授と解脱会の宮坂保徳氏にご講演をお願いしたが、その後の懇親会での顔ぶれも多士済々、酒が入るといつもの常、あちこちで大いに話しが弾んだ。 セミナーに見えた島田裕巳氏と席が隣となり、神社の話から、神社恒例・大祓えの神事が話題となった。 六月・十二月の晦日に行われる大祓えは、上代より我が国の国家的行事として扱われていたことが、大宝神祇令に見える。それが平安末期頃には衰退し、応仁の乱以後は中断されてしまう。僅かに、六月・名(夏)越の祓えのみが民間信仰のなかにあって、命脈を保って来ていた。明治四年、時の政府はこの旧儀を再興させ、現在のような神社神道での形態となり、いまに至っている。 神社は、元旦の参拝者のため年末から大晦日にかけては特にその準備に忙しく、其方に心を奪われる。単に形骸化したかたちで行われる神社でのいまの大祓えからは、上代の精神は伝わってこない。大宝神祇令にあるような当時の古儀に復し、国家的な災変・疫病の発生の折りなどに臨時の大祓え≠執行すべきだ、と言うのが私の意見である。 話のなかで島田氏は、昔の國別、現在の都道府県或いは地方別に日を決め、教派系・神道系新宗教を含め心ある神社・神道関係者がいっせいに大祓えの儀式を行なえばいい、と提言された。その日とは?。それは当然、建国記念日でしょう…。側で聞いていた研究会の研究員で神職のK君が、実行したら神社本庁が青くなりますね!、と声を上げた。 その島田氏がこの度、三年の月日をかけオウム事件を総括し、原稿用紙千三百枚・五百四十頁にのぼる『オウム ―なぜ宗教はテロリズムを生んだのか―』を上梓させた。出版直後から、日経、朝日、共同と書評が相次ぎ、インタビュー記事も後を追っている。 ここで島田氏はオウム事件の発生を日本という組織社会≠フ病根に依る、と断じているが、伝統宗教、新宗教を問わず宗教界はオウムが残した影響に未だ呻吟している。 更に島田氏は、宗教とは祈ること、オウムには祈りがない、従ってオウムは宗教ではない。≠ニも謂われる。事件を見直し、風化させないためにもオウムが行なわない犠牲者に対しての慰霊、真心の込められた祈りが求められる。 だが、宗教界はそろそろオウムの影響から抜け出し、本来の活力を取り戻す時期に来ている。それには先ず、オウムの残像を祓う必要もあるだろう。オウムの残滓を祓い退る大祓え―。本気で行動を思う今日この頃である。 |
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