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機関紙(創刊号)巻頭随想

     「にっぽん文明」創刊にあたって

              「にっぽん文明研究所」 代表 奈 良 泰 秀


 私共 機関紙創刊にあたりまして、ひと言ご挨拶申しあげます。

研究会の前身は『新宗教 教祖研究会』でした。

 バブル経済破綻後、日本の社会は不景気と閉塞感に陥っておりました。オウム事件以来、宗教界、特に新宗教あっては厳しい眼に晒されて活気を失い、世情の動向を窺がう状況でした。

 声を挙げず形骸化した祭式や葬儀を行なう伝統宗教はこの際、措こう。新宗教は怪しげなカルト性を排し不明朗を糺して、世のため人のため立ち上がった教祖の教えの正しい原点に帰ろう。そしてもう一度、布教のエネルギーとパワーの熱気を学ぼう。元気と自信を取り戻して、社会に還元しよう。少しでも社会を明るくするための活動を始めよう、と言う思いが、そこには篭められておりました。その活動のための情報と将来のビジョンを提案し、あわせて、失われていく日本の礼節を復活させ、日本人の霊性を蘇らせる運動を起こすことが研究会の目的でした。

 しかし、教祖を学ぶことで今更ながらに識らされることは、病・貧・争の根絶と人々の心の平穏を願い、地上天国建設の槌音を響かせた根底にあるものは、日本の伝統文化を大切にして、新しい価値観をもった文化・文明の興隆を求める想いでした。

 更に深く、それぞれの時代に確立された教祖達の理念と、日本という土壌の中から未来を見据え布教に向かった背景を究明することは、我々に研究と活動の行動範囲の拡がりとスケールアップを要求しました。私共は新たに『伝統文化と新しい文明の研究機構』を標榜し、以前よりの主要な研究課題 “日本の礼節”と“日本人の霊性”等はこれに包含させて、『にっぽん文明研究所』と改称しました。少人数で始めた研究会ゆえにこのような大きなテーマを掲げ、取り組むことへの一抹の不安はありますが、山間の小さな清流がやがて大海原に向かう大河となるのを見るように、眼の前に広がる景色に、私共の意気は軒昂です。

 秋(とき)、あたかも新世紀を迎え、新しい時代の到来を期待させます。しかし現実には、狭くなった世界の多くの地域で宗教・民族間での紛争が起き、環境汚染、食料問題、南北の貧富の格差、エイズ感染の拡大、科学や医療の先端技術の行方など、我々日本人もグローバルな視点が必要な立場に置かれています。これから先、日本は何処へ行こうとしているのだろうか?。未来はあるのか?。我々日本人が、永い年月をかけて培った文化をいまに伝え、世界でもたぐいまれな高い霊性を持つ民族であることを、何故か人々は語らなくなりました。その霊性を揺り動かし、人々に自信と誇りと元気を与えるために、宗教に携わる者は立ち上がるべきです。

 私共の研究会は、あえてそのような運動の旗を振るドン・キホーテの役を、目指します。そして機関紙は、新しい未来の展望と希望を与える紙面となるよう努力します。

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